新型コロナウイルスの感染が拡大する中、3月ごろから埼玉県内で他の感染症にかかった人が例年に比べて大きく減っていることが県衛生研究所(吉見町)のまとめで判明した。同研究所の感染症疫学情報担当によると、新型コロナ対策で手洗いなどの徹底が進んでいることが一因として考えられるという。【山越峰一郎】

 同研究所は感染症の予防と流行防止のため、感染症法に基づき医療機関からの報告をとりまとめている。特にインフルエンザなど感染者数が多い18の「定点把握対象疾患」については、地域別の数字を毎週公表している。

 患者数が多く、比較しやすい六つの疾患を見ると、3月から目に見えて減り始め、4月は落ち込みがより顕著になっている。例えば感染性胃腸炎の第14〜16週(3月30日〜4月19日)は、2019年の3637人に対し20年は792人と4分の1以下に減少した。同期間の他の疾患では、水ぼうそう98人(昨年同時期222人)▽RSウイルス21人(同191人)▽溶連菌(A群)467人(同1202人)▽りんご病38人(同421人)と、いずれも大きく減っている。

 担当者によると、溶連菌は例年、夏休みの時期に減少するという。担当者は「臨時休校で子供たちの接触感染が減ったことも一因では」と話す。

 インフルエンザも54人(同1413人)と大きく減っているが、国内で新型コロナが話題になる以前の1月からすでに減っており、第4週(1月20〜26日)は4335人で、昨年同時期(2万1527人)の5分の1程度だった。国の分析がまだなされておらず、要因は分からない。

 担当者は「小児感染症の多くが例年に比べ少ない。手洗いなど、それぞれの感染症に共通した感染予防策の効果があるのでは」と言う。また新型コロナの感染拡大で、国や県は受診前に電話相談するよう求めていることから「病院へ行く人そのものが減った可能性もある」と話している。

https://mainichi.jp/articles/20200427/k00/00m/040/013000c