4月21日、WHO(世界保健機関)は、

「新型コロナの発生源が動物であることを、入手可能なすべての証拠が示している」

 と発表し、発生源が噂されている武漢にある中国の研究機関であることを否定した。 

 だが、WHOが中国政府に“侵食”されていると見られているだけに、さながら「悪役レスラー」と組んだ「レフェリー」の判定のようなもので、俄かには信じ難い。

 とは言うものの、アメリカが武漢に持ち込んだという説にも首を傾げざるを得ない。アメリカ犯人説の根拠として、大量のアメリカ軍人が新型ウイルス感染爆発直前の武漢に滞在していた点を挙げる向きもある。

 たしかに昨秋、アメリカ軍人が武漢に滞在している。だが、彼らは第7回「CISMミリタリーワールドゲームズ」(10月18日〜27日)への参加者であり、謀略工作要員と考えるのは単純に過ぎる。それに約100カ国から1万人ほどの軍人が参加していたのである。アメリカ軍人が不審な動きを見せたなら、どこかから“真相”は漏れ出すはずだが、それは現在に至っても聞こえてこない。

 因みに、この大会にはタイからも、シリワンナワリー・ナリラタナ王女を含む55人の代表団が参加している。

「感染源」についても野生動物からバイオテロまで、諸説紛々として定かではない。これからも犯人探しから告発・非難合戦が、米中両国を中心にして延々と繰り広げられるだろう。

 そして真相は、国際政治の力学が働くままに、最終的には薮の中に消え去ってしまうに違いない。

爆発的感染を引き起こした3要因

 とはいえ改めて考えるに、今回の新型コロナの爆発的感染を引き起こした要因は、以下の3つに絞ることができるはずだ。

(1)中国共産党政権の独裁・隠蔽体質。

(2)中国人の内外における自由な移動。

(3)ゲテモノ嗜好という中国人の悪食文化。

 このうちの1つでも止められていたら、初期の、それも極めて小規模の段階で、新型コロナ封じ込めに成功していただろう。

 ところが習近平政権はそうはしなかった。

 独裁・隠蔽体質のままに過ごしたばかりか、国民の移動制限も大幅に遅れた。気づいた時には、すでに新型コロナは国境を越えてしまっていたのだ。

 その結果、感染者は193の国・地域で297万人を突破し、死者は20万人を超えている(4月27日午後3時現在)。

 世界各国の苦闘を尻目に、習政権は「中国は世界に先駆けて新型コロナを抑え込んだ」と内外に向けて喧伝し、経済活動再開に向け動き始める一方で、新型コロナ対策の医療関連援助、いわば「新型コロナ外交」とでも呼ぶべき外交攻勢を仕掛け始めた。

 そこで早速、

「共産党政権は新型コロナのパンデミックに関して、放火犯と消防士の両方の役割を果たしている」(米『ナショナル・レビュー』3月27日)

 といった批判が起きることになる。

 たしかに昨日までの「放火犯」が今日から「消防士」とは言い得て妙だが、この程度の批判に動じるような習政権ではあるまい。

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https://www.fsight.jp/articles/-/46858