https://mainichi.jp/articles/20200430/k00/00m/040/096000c

福岡市西区の離島・玄界島で29日、廃校になった旧市立玄界中の校舎内で高齢女性の変死体が見つかった事件で、
福岡県警が事件に関与した疑いがあるとみて島民の男を任意で事情聴取していることが捜査関係者への取材で判明した。
遺体の頭部や首には複数の外傷があることから、県警は殺人事件として捜査しており、容疑が固まり次第逮捕する方針。
県警は30日に司法解剖して死因を特定する。

県警によると、女性の身元は島に住む無職、中村テイ子さん(82)と確認された。中村さんは夫(82)と団地の一室で2人暮らし。
夫が29日午前7時ごろに起床した時は既に自宅にいなかった。廃校の旧校舎近くの畑に行くのが日課だったため、
農作業に出かけたと思ったが、用事を約束していた同11時半ごろになっても帰宅しなかったため、近所のおい(44)とともに畑周辺を捜索。
午後0時25分ごろ、旧校舎内で倒れているのを発見し、おいが110番した。

旧校舎は中村さんの団地から道のりで約500メートル北にあり、2009年5月末に現在の市立玄界小中学校の新校舎完成に伴い、
廃校になった。地元の住民によると、旧校舎は今も水道が使え、畑作業に行く住民が泥などの汚れを落としたり、
トイレを利用したりすることがあるという。

殺人事件の発生に、人口約400人の島には驚きが広がった。近隣住民によると、中村さんは夫とともに島で生まれ育ち、
畑でタマネギや大根、ツワブキなどの野菜を育て渡船待合所近くの店で販売したり、近隣に分けたりしていた。
夫と仲よさそうにグラウンドゴルフや、公民館であるカラオケなどの講座に出かける姿もよく見かけられた。

同じ団地に住み、事件の前日に会ったという幼なじみの女性(82)によると、中村さんは料理が得意で、
ひじきの煮物などのおかずを差し入れで持ってくることもあった。女性は「面倒見がいい人で、寂しくてご飯が喉を通らない」
とショックを隠しきれない様子。近くに住む遠戚の60代男性は「事件に思い当たるようなことがないから信じられない」と語った。

玄界島は周囲約4キロ。福岡市博多区の博多港から定期船で約35分で着く。