福岡市東区にある7階建てマンション(60戸)で、建物を固定するくい2本の長さが足らず固い地盤(支持層)に届いていないことが、住民が実施した調査で判明した。
 施工業者も4月に行った調査でほぼ同様の結果を確認。住民は
「主要構造に問題はないと説明してきた共同企業体(JV)側が、認めざるを得ない結果が出た」と話している。

 このマンションは若築建設(本社・東京)などが施工。同社、福岡綜合開発(現在の福岡商事、福岡市)、JR九州(同)のJVが販売主となって1995年12月に完成、住民に引き渡した。
 97年にひび割れがあまりに多いことから住民自身がアンケートを実施。
 JV側は「構造上の問題ではない」と回答したという。
 その後も天井と壁の接合部分の隙間やバルコニー、床の亀裂、窓枠のゆがみなどが続いた。

 住民側は2016年、共用廊下を測量して同じ階で98ミリの高低差があることを確認。18年にはJVを相手取り補修工事などを求める調停を福岡地裁に申し立てたが昨年、不成立に終わっている。

 住民側は今年1月、民間検査会社「日本建築検査研究所」(東京)に依頼して、地盤に打ち込んで建物を支えるくいの長さを調査。測量で傾斜が大きかった地点の下の2本のくいが、それぞれ約7メートルと約4メートル、支持層に届いていない結果が出たという。若築建設も4月、調査を行い、同27日の住民側との協議で、同様の結果が出たと報告したという。
 マンション管理組合でこの問題を担当している特別棟理事の佐々木太さん(66)は
「建築当時から傾いていたことが20年以上かかってやっと認めざるを得なくなった。3社がそろって対応してほしい」
と話す。

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