七月五日投開票の東京都知事選まであと二カ月。現職の小池百合子氏は新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、三月下旬の東京五輪延期決定までは「中止はあり得ない」と強気の姿勢を示していたが、延期決定後は東京の「ロックダウン(都市封鎖)」という強い言葉を用いるなどして感染防止対策に急激にかじを切り、注目を集めている。だが、前回の選挙で掲げた「7つのゼロ」の公約は大半が達成されていない。公約の進捗(しんちょく)度を検証した。 (小倉貞俊)

 「7つの0(ゼロ)を目指します」。小池氏は二〇一六年七月の都知事選の選挙公報で、こんなフレーズとともに待機児童や介護離職、残業、都道電柱、満員電車、多摩格差、ペット殺処分などの七項目を列挙。自身が選挙戦で強く訴えた「都政の透明化」「五輪関連予算の適正化」といった主張とともに、有権者から多くの注目を集めた。

 最初に達成したのは「ペット殺処分ゼロ」(重傷や病気などのケース除く)。ボランティア団体との連携で犬や猫の譲渡を促進し、目標より一年早い一八年度に実現することができた。

 「満員電車ゼロ」は、都がこれまでテレワーク(在宅勤務)や時差通勤を推奨してきたものの、混雑解消はわずか。皮肉にも新型コロナ拡大による外出自粛要請で企業の取り組みが進展し、通勤時間帯の「満員電車」はほぼ解消したが、新型コロナの終息後にどこまで継続できるかが課題だ。

 その他は依然、道半ば。「待機児童ゼロ」は、保育施設増加の支援策や保育士確保策を進め、一九年度には知事就任時の半数以下の約三千七百人にまで減少。ただサービス利用者の増加に追い付かず、目標にしていた今年三月末までには達成できなかった。

 「残業ゼロ」は都職員の勤務時間縮減を進めているが、知事就任以降、月平均残業時間は二十三時間前後でほぼ変わらない。「都道電柱ゼロ」は、条例を制定して電柱の新設を禁じたものの、一九年度の地中化率は四割にとどまる見込み。

 「介護離職ゼロ」では、介護と仕事の両立支援や老人ホーム整備を推進してきた。一方で、都内に約七千八百人(総務省統計)とされる介護離職者の推移は把握していないといい、検証は困難。区部との格差をなくす「多摩格差ゼロ」も数値目標などがなく、何をもって達成とするか分からないままだ。都のある担当者は「あくまでも選挙時に打ち出した理念。地道に取り組んでいくしかない」と話す。

 公約の行方はどうなるのか。小池氏は知事選への態度を明言していないが、都は昨年末、長期戦略のビジョンを策定。小池氏が再選出馬すれば事実上の公約になるとみられている「目指すべき二〇四〇年代の東京の姿」として、「(介護離職や待機児童が)死語に」「電柱が姿を消す」「満員電車は過去のもの」と記した。今後も取り組みを続ける意思表示をした形だが、都議会野党会派からは「具体的な目標、進捗状況が定かでない」とけん制球が飛んでいる。

 2020年5月4日 朝刊
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