世界各地で、外出制限を緩め、経済活動を再開させる動きが加速しています。イタリアでは4日、厳しい外出制限が一部緩和されました。制限の緩和とともに“水の都”ベネチアでは、経済活動の本格的な再開を訴えるため多くの人が集まりました。韓国では延期されていたプロ野球が開幕し、無観客で試合が行われました。感染者数、死者数ともに世界で最も多いアメリカでも一部で経済活動が再開されています。11日までに31の州で外出制限が緩和される見通しです。

一方で、緩和によって死者数が倍増するという予測も出ています。米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は「時期尚早に封じ込めを緩和すれば、よほど好転しない限り、感染は再流行する」と警鐘を鳴らしています。ワシントン大学の研究所は、8月までにアメリカ国内の死者数が、これまでの予測の倍近い13万5000人に上ると大幅に上方修正しました。

ただ、アメリカ経済のダメージは深刻です。1月から3月の実質GDP成長率は年率換算でマイナス4.8%。4月から6月期の成長率はマイナス39.6%に落ち込むと予想されています。これはリーマンショックの時と比べて4.7倍の悪化です。大手衣料チェーン『Jクルー』は経営破綻に追い込まれました。フィットネスジム『ゴールドジム』の運営会社も連邦破産法第11条の適用を申請し、経営破綻しました。ただ、日本の店舗はフランチャイズのため影響を受けず、今まで通り営業を続けるといいます。

世界経済の今後について、野村総研エグゼクティブ・エコノミストの木内登英さんは「経済の再開は中国から始まり、欧米、日本という順番で進もうとしています。中国で最も早く経済活動の再開ができたのは、感染した初期に大量の検査をして強力な隔離政策を行ったためです。その結果、中国の経済は2月にすごく落ち込みましたが、3月にかなり回復しました。ところが、欧米・日本の経済が弱く、輸出が落ちているため、4月になって勢いが落ちてきています。つまり、グローバル化が進むと中国だけが先行してV字型回復するというのは難しいということです」と話します。また、日本の経済活動再開について「日本の場合は、規制が比較的緩い代わりに期間が長くなるというタイプ。長く規制が続くと企業はなかなか持ちこたえられないという大きな問題が起こります。一方で、他の国よりも規制が後ずれするということになると、他の国での出口戦略がうまくいくのかどうかを見て、自分のところの政策にいかすというメリットもあります」と分析しています。

5/5(火) 23:30配信
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