居酒屋大手のワタミは7日、休業店舗の従業員の一部を食品スーパーに出向させると発表した。首都圏にある居酒屋「鳥メロ」や「ミライザカ」などに勤務する正社員約130人が対象で、同じ商圏にスーパーを展開するロピア(川崎市)の店舗で働いてもらう。雇用を維持するとともに、異業種での勤務経験を通じて従業員の視野を広げることにも役立てる。

ワタミはこのほど、従業員の出向に関する基本契約をロピアと結んだ。研修を経て11日から都内や神奈川、埼玉、千葉県に40店以上あるロピアに従業員を派遣する。契約は5月末までとしているが、居酒屋の休業が続いた場合は1カ月ごとに出向期間を延長する。

ワタミは新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全国の直営店約400店を臨時休業している。従業員の雇用の維持が課題となるなか、ワタミは居酒屋で培った接客や調理のノウハウをスーパーでも生かせると判断した。「巣ごもり」消費などで来店客が急増し、人材を確保したいロピアのニーズと一致した。

国内では人手不足に悩むスーパーなどが、臨時休業を強いられる飲食店などから人材を一時的に受け入れる「従業員シェア」の動きが広がっている。イオン系食品スーパーのまいばすけっと(横浜市)は外食産業の人材を受け入れ始めた。食品デリバリーの出前館なども外食産業から宅配スタッフとしてアルバイトを受け入れている。

日本経済新聞 2020年5月7日 14:00
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58801310X00C20A5HE6A00/