俺は日本に留学中の中国人だけど、日本は独裁国家にいるような感覚を覚える時があるよね。
とても民主主義的だし、人々も優しい。中国のような感覚はない 。
でも、非常に柔和で優しい独裁国家なんだよな。誰もがそれを受け入れている、ソフトな独裁国家なんだよ実態は。

 日本の電車のシステムは完璧じゃん。でもホームで列に並び、来たのがピンク色の女性専用車両だったら、俺は別の車両へ移動しなければならない。
もしそのシステムを理解せず、従わなかったら、いわゆる白手袋の駅員がやってきて追い出されることもある。
これが、ソフトな独裁国家ということ。

 こんな風に完璧になめらかな機能性には、ダークサイド(暗黒面)があるんだよ 。
精神性や美が高まるというよい面もあるけどな。
日本文化は非常に発達していて、誰もが美の共通認識を持っており、食べ物も、庭園も、すべて完璧に秩序が保たれているよね。
それが日本文化のすばらしい面であり、よい面なの 。

 でも、暗黒の力もあるんだよな。抑圧されたもののすべてが、その力なんだよ。
時間に遅れてはいけない、問題を起こしてはいけないと、まるで精神性まで抑えるかのような力だ 。
先ほどの白手袋のように、テクノロジーへ服従させられる。俺は、これは日本を規定する対立関係(antagonism)だと思ってる。
どんな先進社会にも構造的な対立関係が組み込まれているが、対立関係、つまりは弁証法なんだよね。