検察官の定年延長を可能にする検察庁法の改正案について日弁連=日本弁護士連合会が11日、臨時の記者会見を開き
「三権分立を揺るがすおそれのある法案の成立を急ぐ理由は皆無だ」として国会で拙速に審議を行うべきではないと強く抗議しました。

検察官の定年を段階的に65歳に引き上げ、内閣や法務大臣が認めれば定年延長を最長で3年まで可能にする検察庁法の改正案は
今月8日から衆議院内閣委員会で審議され、政府・与党は今週中の衆議院通過を目指しています。

これについて日弁連=日本弁護士連合会は11日、臨時の記者会見を開き「内閣と法務大臣の裁量で定年延長が行われることで
不偏不党が求められる検察の独立性が侵害されることを強く危惧する」と訴えました。

そのうえで「緊急事態宣言が継続する中、三権分立を揺るがすおそれがある法案の成立を急ぐ理由は皆無だ」として
国会で拙速に審議を行うべきではないと強く抗議しました。

(中略)

検察官の定年延長をめぐっては政府がことし1月、東京高検の黒川検事長の定年を
これまでの法解釈を変更して半年間延長したことに野党側からは「官邸に近い黒川氏を検事総長にするためではないか」などと批判が相次ぎ、
検察庁法の改正案についても弁護士などから「検察官の政治的中立性を脅かし、
政権が検察人事に介入できる仕組みを制度化するものだ」と反対の声が上がっています。

さらにこれまでの国会審議で、法務省が去年10月末の時点で検討していた当初の改正案では
「公務の運営に著しい支障が生じることは考えがたい」などとして検察官には定年延長の規定を設ける必要がないとしていたことが明らかになり、
野党側や弁護士などが「法解釈の変更による黒川検事長の違法・不当な定年延長を法改正によって
後付けで正当化するものだ」などと批判しています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200511/k10012425431000.html