河井克行前法相を買収容疑で立件へ、安倍政権に打撃
[2020年5月13日2時1分]
https://www.nikkansports.com/general/news/202005120000734.html

自民党の河井案里参院議員(46)=広島選挙区=が初当選した昨年7月の参院選を巡り、夫で前法相の克行衆院議員(57)=自民、広島3区=が地元議員らに現金を配ったとして、検察当局が公選法違反(買収)の疑いで克行氏を立件する方針を固めたことが12日、関係者への取材で分かった。案里氏の同じ容疑での立件も慎重に検討する。配った総額は1000万円前後に上る可能性がある。

競合候補で自民党現職だった溝手顕正元国家公安委員長の強固な地盤を切り崩すため、公示前に党本部から案里氏側に提供された1億5000万円を使い、広範囲に買収行為をした疑いがあるとみている。案里氏陣営の公選法違反事件は、法務行政トップの経験者が刑事責任を問われる事態に発展する見通しとなり、安倍政権への打撃は必至だ。

河井夫妻は広島地検の任意聴取に買収行為を否定している。

検察当局は東京地検特捜部の検事も投入し、克行氏の逮捕状請求を視野に入れて捜査。新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が出ている状況や、国会議員の不逮捕特権が認められている国会開会中であることを踏まえ、在宅起訴の選択も含めて、立件の時期を見極めるもようだ。会期は6月17日までだが、延長も可能だ。

昨年7月の参院選で自民党は広島選挙区で2議席独占を狙い、党本部が主導し案里氏を擁立。案里氏が初当選する一方、溝手氏は落選した。

広島地検は今年3月、車上運動員14人に違法な報酬を支払ったとして、公選法違反(買収)の罪で案里氏の公設秘書立道浩被告(54)と克行氏の政策秘書高谷真介被告(43)を起訴した。

捜査で克行氏が案里氏の選挙運動を仕切っていたことが判明。これまでの取材で広島県議や広島市議、県内の首長らに1人当たり現金数十万円を渡していたことが分かっており、検察当局は受領した側についても調べを進めている。

克行氏は広島県出身で県議を経て1996年に衆院議員に初当選し、現在7期目。法務副大臣や首相補佐官などを務め、昨年9月に法相に任命されたが、案里氏の公選法違反疑惑が発覚し、翌月辞任した。