南消防団(有賀和彦団長)に5月1日、初の外国籍団員となる中国籍の林海国(りんかいこく)さん(36)=人物風土記で紹介=が入団した。4月から入団条件が緩和されたことによって、外国籍の人にも消防団員への門戸が開かれた。南消防団では第1号となる林さんは「中国と日本の架け橋になりたい」と意気込む。

4月から条件緩和

 訪日、在日外国人が増加する中、消防団にとって災害時の外国人の避難誘導や防災普及活動をどう対応するかが課題になっていた。横浜市内の各消防団長らが検討した結果、在日外国人も入団できることとし、4月1日から運用を開始した。

 入団条件は2年以上の在留期間があり、日本語でのコミュケーションが取れる人。消防団員は特別職の地方公務員。国の見解では、公権力の行使は日本国籍が必要とされているため、消防車の運転など、公権力の行使に関係する活動はできない。すでに4月に戸塚、山手の両消防団に外国籍団員が加わっている。

防災意識向上へ

 南区は外国人人口が市内で3番目に多く、外国人住民の防災意識向上が課題になっていた。消防団や南消防署は外国籍住民の生活を支援する「みなみ市民活動・多文化共生ラウンジ」に依頼し、入団希望者を探してきた。林さんは小学校で中国籍児童を支援するボランティア活動をしており、ラウンジから消防団を紹介され「消防署のそばに店があり、防災について考えることが多かった」と入団を決めた。

 林さんは中国・吉林省出身。日本への憧れから20歳の時に来日し、短大卒業後に外食業勤務。3年前、浦舟町に中華料理店「壱龍釜」を開業し、支配人を務めている。

 1日の辞令交付式で林さんは「中国人と日本人がコミュニケーションを図れるよう、架け橋になりたい」と流ちょうな日本語で抱負を述べた。有賀団長は「南消防団初の外国籍団員として活躍してほしい」と語った。今後、第二分団に所属して活動する。

掲載号:2020年5月14日号
https://www.townnews.co.jp/0114/2020/05/14/526790.html
https://www.townnews.co.jp/0114/assets_c/2020/05/a000956838_03-thumb-329xauto-629426..jpg