2020年5月14日 12時04分
https://mainichi.jp/articles/20200514/k00/00m/040/079000c
日本原燃の使用済み核燃料再処理工場(青森県六ケ所村)は13日、新規制基準に基づく原子力規制委員会の事実上の安全審査を通過した。今後、意見募集(パブリックコメント)や経済産業相の意見聴取などを経て正式に「合格」となる。県内では「審査通過」を受け、地元経済への期待の声などがあがる一方、工場などに保管される核のごみの行方に対する不安も聞かれた。【江沢雄志、井川加菜美】
再処理工場が立地する六ケ所村の戸田衛村長は同日午後、報道陣の取材に応じ、「審査合格に向けて大きく前進したものと受け止めている。国の対応状況や竣工(しゅんこう)に向けた安全対策工事を注視していきたい」とするコメントを読み上げた。
今年度中に核燃料サイクル施設全体の避難計画を策定する方針を明らかにし、避難道路の整備の必要性を強調。今後、県や国に対しても整備を働きかけるとした。また、地域振興についても語り、「再処理工場の今後の運営、操業にあたっての人の流れ、モノの流れの勢いが増すことを期待している」と話した。
三村申吾知事も「事業変更許可へ向けた大きなステップと受け止めている。県としては引き続き、国の対応状況を注視する」とするコメントを発表した。
同村のパート従業員の女性(43)は「規制基準が高くないと受け入れはできない。時間がかかったのは妥当。今後は事故が起きた場合の避難計画を重点的に詰めていってほしい」と話した。
一方、同村で飲食業を営む女性(70)は、工場で保管されている高レベル放射性廃棄物について言及。県が国から「青森県を最終処分場にしない」とする確約を得ていることに触れ、「『最終処分地にはしない』という言葉を信じているが、『ごみ』がたまる一方なので心配するところはある」と複雑な表情を見せた。