それにしても同じ緊急事態なのに、なぜ安倍首相は世界各国のリーダーたちと比べて「映えない」のだろうか。
実際、永田町ではこんな声が与野党の議員から漏れ聞こえる。

「日頃から『国難突破解散』だとか『緊急事態条項』だとか危機を煽っているのに、本当の危機には強くない」(野党幹部)

「世間的には独裁的で強権なイメージがあるが、こだわっているのは憲法改正だけ。
記者会見を見ていても、よっぽど東京の小池さん(小池百合子都知事)の方が積極的で、
政治パフォーマンスも長けている」(自民党中堅議員)

振り返ってみると、新型コロナウィルスの日本上陸以降、最も印象に残っているのは、あの「アベノマスク」だ。
これを安倍首相本人がぶち上げたのが4月1日。それから1ヶ月半が経とうとしている。
5月14日現在、47都道府県のうち配布が開始されたのは12都道府県。配布が始まったとされる東京でも、一部地域を除いていまだにマスクは届いていない。

また、配布開始後に発覚した品質への疑念、マスク調達のために厚労省が随意契約した会社が、誰の目にも怪しすぎる点など、ツッコミどころ満載だ。

自粛要請を発表した直後、ミュージシャン・星野源さんの「うちで踊ろう」と一方的に「コラボレーション」して投稿された「お寛ぎ動画」も、
動画のセンスが無さすぎで失笑をかった。

■苦言を呈する人がいない

なぜ、少し考えれば国民感情とは乖離していることが分かる失態を繰り返すのだろうか。
かつて別の首相を支える立場で働いた経験のある元自民党議員は、7年間も政権のトップの座に就く安倍首相、側近の官僚に対し、
不都合なことを「進言」できる人間がいないからだと分析する。

「安倍さんは、料理(政策の中身)そのものには関心がない。出されたものをなんとなく食べるだけ。
料理を作るのは官邸官僚。彼らは優秀なので、基本的に作るものは見栄えがするし、味もそこそこ、おいしい。
しかし、明らかにチョイスが間違っている場合もある。それを改める構造的な機能が官邸内にはないのです。

官邸で行われる総理レクには、大勢の官僚が出席するが、何か言おうものなら批判と受け取られ、マークされ出世コースから外される。
そんなリスクを冒してまで政策を正そうとする人は誰もいません」

安倍首相の弱点は人心を揺さぶる言葉を持っていない点にあると、この元自民党議員は指摘する。

「この非常事態を受けて、どのように国の舵取りにするのか。総理の意思が国民に全く伝わっていない。
だから平気で『人と人との絆の力があれば、目に見えないウイルスへの恐怖や不安な気持ちに必ずや打ち勝つことができる』などと
官僚が作ったポエムを読んでしまう。

(中略)
安倍首相の国会答弁を調べると、実は口癖のように「責任は私にある」と連発している。
しかし、自らの進退に触れるという意味での「政治責任」を口にしたのは、ただの一度しかない。
それが、3年前。森友事件で追求された時の「私や妻が関係していたということになれば、それはもう間違いなく総理大臣も国会議員もやめる」との発言だ。
この時、関係省庁では末端の官僚まで震え上がった。そして、公文書改ざんが行われ、財務省職員が自殺に追い込まれた。


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https://news.livedoor.com/article/detail/18262449/