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西日本新聞

福岡市民、アベノマスクに今さら感「医療従事者に」の声も
商店街の露店に積まれて販売される箱マスク。価格競争で値下げが続く
 新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、政府が世帯に2枚ずつの布マスク配布を始めて、17日で1カ月。九州では福岡県で配布が始まったばかりで、他の6県は「準備中」のまま。あなたの特命取材班が4月に実施したアンケートでマスク不足に悩んでいた通信員に再び聞くと「自分で用意した」「必要な人に届けたい」といった声も。「アベノマスク」とやゆされた2枚はいつ届くのか、役に立つのか−。

 「布マスクは100円ショップにもある。いまさら届いても…」。ため息をつくのは福岡県久留米市の団体職員の女性(46)。お年寄りが手作りして子どもたちに配る光景も目にしたという。福岡市早良区の飲食店経営の男性(25)もマスクについて「使い捨ての方が勝手が良い」と話す。

 政府は配布を「5月中に終える」としてきたが、これまでに配布が始まったのは関東や関西を中心とした13都道府県で、九州では福岡のみ。厚生労働省は「妊婦用のマスクで不良品が相次いで報告され、検品を徹底している」と配布が進まない理由を説明。「予定通り配布を終えたいが確定的なことは言えない」としている。日本郵便九州支社によると、九州の配布先は計約630万カ所。システム上、住宅だけでなく会社や事務所なども含まれる。

 一時は不織布マスクが店頭から消えたこともあり、マスクを自作してしのいだ人も多い。久留米市の女性公務員(35)は子どもが着ていたベビー服のガーゼで10枚を手作りした。「政府のマスクは子どもの給食当番用にする」

 品薄が続く現状を受けて466億円を投じた今回の政策。福岡県糸島市の解体業の男性(45)は「マスクの転売や高額販売が続く中で、結果的にさらなる高騰を防ぐ抑止力になったのでは」と評価したが、「医療従事者に必要な物資を優先的に配布すべきだ」と注文した。

 福岡市東区の女性会社員(50)宅には、13日にマスクが届いた。すでに手持ちのマスクに余裕があるため「高齢者やホームレスなど困っている人に」と寄付を考えている。ホテルを管理する仕事をしている大野城市の女性会社員(53)は「仕事がなく、大学生や留学生の中には携帯電話代も払えないほど困窮している人もいる。政府はもっと弱者に目を向けて」と訴えた。(押川知美、岩崎さやか、長松院ゆりか、松永圭造ウィリアム)

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