政府は緊急事態宣言の対象に残った8都道府県について21日に解除の可否を判断する。首都圏など一つの経済圏を一体的に検討する。西村康稔経済財政・再生相は17日のNHK番組で「気の緩みによる人出の増加」に懸念を示し、感染が再拡大すれば月内に解除できない可能性に言及した。

政府は14日に39県で緊急事態宣言を解除した。北海道、東京、神奈川、千葉、埼玉、大阪、兵庫、京都の8都道府県は重点的な新型コロナウイルス対策が必要な特定警戒都道府県として対象に残した。

新型コロナの潜伏期間は2週間とされる。政府は大型連休期間の外出自粛の効果が出てくる21日をメドに残る8都道府県を評価し、解除できるか判断する。21日を見送った場合は宣言の期限である今月末の直前となる28日ごろに感染状況を分析する。

政府の基本的対処方針は解除基準として(1)感染状況(2)医療提供体制(3)PCR検査などの監視体制――の3点をあげた。「総合的に判断する」とも記した。

感染状況は「10万人当たりの1週間の感染者が0.5人程度以下」を目安の一つにする。「同1人程度以下」の場合は特定のクラスター(感染者集団)や院内感染、感染経路不明の症例の発生状況などを考慮して総合的に判断する。

西村氏は「首都圏は一体的に考えるのが自然だ」と述べている。同じ経済圏や生活圏である「東京、神奈川、埼玉、千葉」と「大阪、京都、兵庫」はそれぞれ一体的に解除を検討するとみられる。

東京都は15日の新規感染者が9人と3月22日以来、54日ぶりに1日あたりの新規感染者数が10人を下回った。西村氏は15日の記者会見で「このレベルが続けば宣言の解除基準を満たしてくる」との認識を示した。

東京都は16日の新規感染者は14人、17日は5人だった。大阪府は17日にゼロになった。

人出は増加傾向がみられる。15日午後7時時点では東京・六本木駅が前日比14.8%増、大阪・北新地駅が同16.3%増、北海道・すすきの駅が同13.7%増と繁華街で軒並み2ケタ増えた。

西村氏は16日の記者会見でも「ここで気が緩むと5月末に新規感染者数が増え解除できなくなる」と述べていた。17日のNHK番組でも同じ考えを示し、外出自粛への協力を重ねて求めた。

医療提供体制は重症者用の空き病床数や使用可能な人工呼吸器の数が基準となる。西村氏は同番組で、累積退院者数が1万1千人なのに対し入院者数が3900人である点をあげて「医療が逼迫して危機的な状況が近づきつつあったが、少し余裕が出ている」と語った。

監視体制はPCR検査や抗原検査の体制強化を急ぐ。西村氏は同番組で医療の充実などに使う都道府県向けの緊急包括支援交付金について、2020年度第2次補正予算案で「大幅に拡充する」と強調した。第1次補正予算には1490億円を計上した。

2020/5/18 2:00
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59220040X10C20A5PE8000/?n_cid=SNSTW001
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