Kの人権を主張する人々も

Kの死因は「圧迫死」だった。圧死ともいうが、群衆事故などで時々発生している。
胸部を重たいもので押さえつけられたり、群衆の中で身動きが取れなくなったりすると、呼吸ができなくなり死に至るのだ。

警察官が到着したとき、数名が折り重なるようにしてKを押さえつけていた。Kは逃げようと激しく抵抗するし、爆発物を投げ込んだ犯人である。
逮捕にあたった従業員らは当然Kを逃がさないよう一生懸命押さえ込む。従業員らはKの腕や足だけではなく、時には首も押さえている。ただそれは死因になるものではない。

解剖の結果、Kの舌骨にも異常はなかった。舌骨は喉仏の上側にあり、絞殺や縊死の場合、折れることがある。Kの場合は絞殺でも扼殺でもない。何よりも一部始終が防犯カメラに映っていた。

それに対して、Kの人権を主張する人々もいた。事件の翌年には作家の宮崎学氏や著名な評論家などが参加し、北九州市小倉北区で「人権を考える」と称する大会が開催され、
弁護士らが記者会見を行い、Kの両親らが逮捕者である店の従業員や福岡県に対し損害賠償請求訴訟を起こしたと発表した。
Kの遺族は、その前年には逮捕者である従業員や現場警察官を殺人罪で告訴していた。

この「人権」とは襲撃実行犯のKのことで、被害にあった女性たちの人権は含まれていない。
Kの遺族の告訴については、福岡地検が捜査の結果、「嫌疑なし」で不起訴とした。また、損害賠償の請求は原告側が取り下げている。