「逆らう者は許さない」という工藤會

一方、ぼおるどへの脅迫は続いた。
事件後、倶楽部ぼおるどはガードマンを雇って営業を再開したが、実弾入りの脅迫状が送られるなどして、事件の翌月には休業、ついには廃業してしまった。
「逆らう者は許さない」という工藤會の目的は達成されたのだ。

事件以降、福岡県警は工藤會に対する一斉摘発を続けた。平成15年は7回の一斉摘発を行い、工藤會組員90人、準構成員等102人を検挙した。
平成16年は暴力団員200人、準構成員等292人を検挙している。

工藤會組員は平成15年末で約580人、翌年末が約590人だったから、2年間だけで二人に一人を検挙していた勘定になる。
もちろん、罰金となったり、処分保留で起訴猶予となるものもあった。それでも、工藤會組員のうち、実質3分の1程度が勾留、服役で社会不在となっていた。
しかし、これだけの取締りが行われたにも拘わらず、工藤會組員は減少するどころか年々増加し、平成20年末には、県内で約730人と、そのピークを迎えた。取締り中心の暴力団対策には限界があったのだ。

工藤會はその後も市民や事業者に対する襲撃事件を繰り返していくことになる。