計39県の「緊急事態宣言」が解除された。心配されるのが、感染の「第2波」の襲来だ。想定される被害規模は。AERA 2020年5月25日号の記事を紹介する。

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「波」は一度ではない。

 いち早く独自の「緊急事態宣言」を打ち出し、新型コロナウイルスの感染を封じ込めたはずの北海道が、感染拡大の「第2波」に襲われた。

 北海道は、感染症対策として2月28日から約3週間にわたり続けた独自の緊急事態宣言を、新規感染者がゼロになったことで3月19日に解除した。しかし、4月中旬から事態は悪化。感染者が急増し、「第1波」を超える波が押し寄せ、多い日は解除前の3倍にあたる45人の感染者が出た。今月12日の新たな感染者は13人になるなど最近は落ち着きを見せてきた。だが、道の関係者は、

「今後の動向を決める踏ん張りどころだ」

 と緊張感を持って取り組む必要があると語った。

 第2波──。パンデミック(世界的大流行)はいったん流行が収まっても再燃する懸念がつきまとう。過去最悪のパンデミックといわれるスペイン風邪は、1918年春に第1波が米国とヨーロッパで始まり、いったん感染が収まったが同年秋に第2波が、翌19年初めに第3波が襲い、世界を震撼させた。なかでも第2波は、ウイルスが変異し強毒化して、国によっては10倍の致死率となったという。

 北海道以外でもアジアでは、感染の拡散が鈍化していた中国で11日、2日連続で10人以上の新規感染者が確認され第2波が懸念されている。韓国では14日、ソウル市の繁華街のクラブで発生した集団感染の感染者が133人になったと発表した。

 そんな中、今後心配されるのが、本格的な第2波の襲来だ。

 14日、政府は新規感染者数が少ないことなどから新型コロナウイルスの重点対策が必要な13の「特定警戒都道府県」のうち茨城、石川、岐阜、愛知、福岡の5県を含む計39県で、5月末までの緊急事態宣言を前倒しで解除すると発表。大阪も16日からの段階的な休業要請解除を決めた。

「気を緩めると、第2波は必ず来ます」

 と警鐘を鳴らすのは、感染症に詳しい「インターパーク倉持呼吸器内科」(栃木県宇都宮市)院長の倉持仁医師だ。

日本は経済圏がつながっているので、緊急事態宣言が解除され社会活動が始まれば多くの人が行き来するようになる。だが油断すれば感染のリスクが高まると倉持医師言う。

 第2波による感染者の規模について倉持医師は、欧米で流行しているウイルスが日本で流行した場合、その毒性と日本国内の感染症対策から見て「第1波とは桁が違う」と指摘する。

「日本では2月から4月までの3カ月間で1万5千人近い感染者が出ましたが、宣言が解除され気が緩めばさらに10倍近い15万人ほどの感染者が出る可能性がある。そうなれば、日本の医療は完全に崩壊するでしょう」(倉持医師)

 医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師は、第2波による被害規模ははっきりわからないとしながらもこう述べる。

「参考になるのが、第1波の時の抗体保有率。スウェーデンが25%でニューヨークが12%近くと高い水準になっています。それに対し、カリフォルニアは4%、東京は6%、武漢は3%程度でした。つまり、アメリカ東海岸からヨーロッパの側がアメリカ西海岸からアジアと比べ3倍近く高くなっています。この大西洋周辺地域で高くなっているウイルスが強毒でそれが日本で広がった場合は、第1波の3倍程度の規模になると思います」

全文はソース元で
5/20(水) 9:00配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200519-00000029-sasahi-soci
https://lpt.c.yimg.jp/amd/20200519-00000029-sasahi-000-view.jpg