全小中学生、妊婦に布マスクを配布する栃木県足利市の新型コロナウイルス感染対策を巡り、21日の市議会全員協議会で、市議から「公職選挙法の寄付行為に抵触するのでは」などの疑義が相次いだ。マスクに添えたメッセージに「足利市長より」などと記載があったのが理由。和泉(いずみ)聡(さとし)市長は「そうした意図はないが、十分注意する」と釈明した。

 マスクは市内業者が製作したのを市が購入し、小中学生は各校を通じ、妊婦は郵送や市役所窓口で配布。それぞれ「頑張って」「安心して妊娠・出産・子育てができるよう応援しています」などと書いたメッセージや通知を添え、小中学生には和泉市長を描いたイラスト付きで「足利市長より」、妊婦には「足利市長 和泉聡」と記した。

 これを市議4人が批判。マスク配布自体は歓迎する一方、「似顔絵も入っている。誤解を与えない方が良かった」「地位利用、売名行為と取られかねない」などと指摘した。

 市執行部は(1)市予算で購入している(2)市長選の時期ではない(3)選挙権のない小中学生が対象−などを根拠に「公選法に抵触しないと考えている」と説明した。

 現在2期目で来年5月に任期満了を迎える和泉市長。「『そういう誤解を与える』という意見があるのは事実。今後、そういうことがないよう十分注意していく」と述べた。

下野新聞 5月22日(金)5:00
https://www.shimotsuke.co.jp/articles/-/314272