2020年5月23日 09時42分
https://mainichi.jp/articles/20200523/k00/00m/040/030000c

 東京電力福島第1原発事故で全町避難となった福島県大熊町のうち、今年3月に立ち入り規制が一部緩和した帰還困難区域で22日、コメの試験栽培が始まった。下野上地区の水田約9アールで、町職員らが事故後初めて苗を植えた。秋に収穫し、放射性セシウム濃度が国の基準値(1キロ当たり100ベクレル)を下回るか、除染の効果を確認する。

 また、昨年4月に避難指示が解除された大川原地区では、全量検査し基準値以下なら出荷・販売できる実証栽培が2018年から行われており、今年もコシヒカリともち米が植えられた。さらに別の水田(43アール)では初めて酒米の実証栽培も始まった。十分な収穫量があれば会津若松市の酒蔵で日本酒を作り、販売を目指す。同町は「事故後、町の主要機能を置いていた会津若松とのつながりを大事にし、新たな特産品に加えたい」という。

 町農業委員会の根本友子会長(72)は「初めて植える場所は地力が衰えているので、どれだけ収穫できるか気になるが、安全なコメが作れると示したい」と話した。【和田大典】