老舗百貨店の中合(福島市)は26日、JR福島駅東口の駅前再開発に伴い中合福島店を8月31日で閉店すると発表した。中合は閉店後に廃業する見通しだ。中合はイオングループの傘下に入っており、正社員やパートなど約100人いる従業員について、同グループや地元企業などでの雇用継続を目指すとしている。

 福島店が入る「辰巳屋ビル」は再開発で取り壊され、跡地に大型複合施設が整備される。中合はビルの賃貸借契約が満了することから、営業を終了する。契約期間は12月までだったとみられる。テナントの151店舗で働く約350人については、雇用元の企業と連携して支援する方針。

 百貨店は人口減少やインターネットショッピングの市場拡大などを背景に経営環境が厳しくなっている。

 中合によると、福島店の売り上げはピーク時の1992(平成4)年度に約200億円に上ったが、昨年度は約60億円にとどまった。2017年8月には耐震化の問題で2番館の営業が終了し、昨年は消費増税や東日本台風(台風19号)、暖冬の影響も受けた。

 福島市で記者会見した黒崎浩一社長は「消費増税後の営業数値はかつてないほどに落ち込んだ」と明かした。新型コロナウイルスの感染拡大で4月18日〜今月8日に臨時休業し、4月の売り上げは前年比約6割減と低迷した。ただ黒崎社長は「営業終了の方向性は新型コロナの前から決まっていた」と説明した。

 中合は会津若松市のサテライトショップ会津店を7月31日に閉店する。福島店の閉店で店舗は全て営業を終えることになり、保有不動産の処理など清算手続きに入る。中合は1874年に呉服店として開業、146年の歴史を誇る。

 商業ゾーン計画「振り出しに」

 再開発を巡っては、地権者でつくる準備組合が中合と大型複合施設への入居について協議していた。組合は「商業ゾーンの計画は振り出しに戻った。新たなテナントを探していきたい」としている。

 大型複合施設は商業施設やホテル、マンション、福島市が整備する交流・集客施設などを備える。着工は2022年度、オープンは26年度の予定。

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