【ニューヨーク=大島有美子】カナダの上級裁判所は27日、カナダで拘置中で米国が身柄引き渡しを求めている中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)について、「カナダでの犯罪行為に当たらない」とする孟氏側の主張を退けた。これにより、米国への身柄の引き渡しに向けた審理が継続する。

1月から始まった孟氏の身柄送還を巡る審理は、米国での起訴内容がカナダ国内でも罪に相当するかという「双罰性」の有無が最大の焦点となっていた。裁判所はこの論点について同日、双罰性は有効だとの見解を示した。

孟氏は2018年12月、バンクーバーの空港で米国の要請を受けたカナダ当局に拘束された。米国は19年にイランとの違法な金融取引について銀行などに虚偽の説明をしたとして、詐欺などの罪で孟氏を起訴し、カナダに身柄の送還要請を出していた。

裁判所は今年1月以降、カナダの検察当局と孟氏の弁護団の双方から見解を聞いていた。3月に最初の公判を開く予定だったが、新型コロナウイルス問題で6月に延期された。裁判所は関係者への聴取を進め、双罰性に関する見解を公判に先立って表明した。米国が起訴内容に含めた詐欺などの罪状については今後順を追って判断するとした。身柄送還を巡る審理は今後、数回にわけて年末まで続く見通しだ。

仮にカナダで罪に当たらないとの見解が出れば、拘置の理由がなくなり孟氏はただちに釈放される可能性があった。

孟氏の弁護団は(1)カナダはイランに対して米国と同等の制裁を科しておらず、カナダでは犯罪に当たらない(2)18年12月の孟氏拘束時のカナダ当局の対応は不当な尋問による人権侵害があり適切ではなかった――と主張。孟氏の早期釈放を求めており、審理の争点となっている。

2020/5/28 3:22 (2020/5/28 3:32更新)
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