フェイスブックのザッカーバーグCEO
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 米フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、2日行われた対話式の社内会合で、ドナルド・トランプ米大統領の投稿をそのまま放置した自身の決定は正当との考えを示した。同氏の決定を巡っては、トランプ氏の投稿内容は規定に違反するなどとして社内や市民権活動家から批判が高まっていた。

 この日の会合は当初、4日に予定されていた。1日にはザッカーバーグ氏の決定を不服とし、数百人の社員がネット上で「仮想スト」を実施。複数の社員がツイッター上で会社への不満を表明していた。ソフトウエアエンジニア2人は1日、トランプ氏の投稿に対して規定の適用を怠ったなどとして、退社の意向を公表した。

 フェイスブックはこのところ一部の内部イベントを動画配信しているが、今回は外部に公表されなかった。だが社員らによると、ザッカーバーグはこの問題に関して譲らなかった。同氏はこれまで、トランプ氏の投稿は個人的には「極めて不快」と感じているとしながらも、民間企業が政治的な発言を規制すべきではないと指摘。発言を巡る議論を抑制するのではなく、公の場で行われるようにすべきとの考えを示している。

 フェイスブックのエンジニア、ブランドン・デイル氏はツイッターへの投稿で「指導部がわれわれの意見を支持することを拒否したことが、本日極めて明白になった」と述べた。

 トランプ氏は5月29日、白人警官に取り押さえられて死亡した黒人男性の死をきっかけとする抗議活動について、ツイッターとフェイスブックの双方に投稿。デモ参加者を「悪党」と呼び、「略奪が始まれば、銃撃が始まる」と警告した。ツイッターが投稿を見えないようにふせる一方、フェイスブックは何も措置を講じなかった。

 従業員の間で強まる反発は、フェイスブックをトップとして16年率いてきたザッカーバーグ氏にとって過去最大級の試練となっている。ザッカーバーグ氏とシェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)は先週終盤以降、とりわけ黒人の幹部や社員、市民権運動のリーダーらを交えて方針決定について協議してきた。だが一部の参加者によると、これらの会合は総じて満足のいくものではなかった。

2020年6月3日 06:59 JST 更新
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