6/8(月) 10:37配信
毎日新聞

川畑慶和署長(左)から感謝状を送られた東淀川瑞光郵便局の浅見和好課長(左から2人目)と秋元康春主任(同3人目)=東淀川署で、榊原愛実撮影

 普段は留守番電話にしている家の電話を、なぜかその日は取ってしまった――。特殊詐欺被害に遭い、キャッシュカード2枚をだましとられた大阪市東淀川区の80代女性が取材に応じ、当時の様子や心境を語った。女性はとっさの判断で現金被害は免れたが、「まさか自分が被害に遭うとは思わなかった」と振り返った。【榊原愛実】

 4月上旬、区役所職員を名乗る電話があり、「給付金を振り込むので銀行を教えてください」などと言われた。「オレオレ詐欺」などは知っていたが、この電話が詐欺とは思わず、暗証番号も伝えてしまった。

 その日の午後2時50分ごろ、職員を名乗る男が自宅にやってきた。電話では「上司が行く」と言われたが、訪れた男も「上司に確認する」などと話していたのが少し気になった。男は不具合がある古いカードを交換すると主張し、女性に提出するよう求めた。

 女性は「キャッシュカードなんて渡すもんか」と危機感は強かったが、「せっかく取りに来ているんだし」との気遣いから最終的に2枚を渡してしまったという。

 しかし、その後の行動は早かった。不安に思った女性は自ら車を運転し、郵便局で「詐欺かもしれない」と伝えた。局員は女性の口座を取引停止し、別の金融機関にも連絡を入れた。男が近くの現金自動受払機(ATM)で現金を引き出そうとするまで、わずか1、2分。現金被害は免れた。

 「警察まで巻き込んで迷惑をかけて悪かった」と繰り返す女性。被害に遭ったことは家族にも打ち明けられずにいる。取材に応じたのは「同じような被害に遭う人を減らしたい」との思いからだ。

 女性は「私が甘かった。しっかりせなアカンと思っている」と気丈に振る舞った。

 ◇対応した郵便局員を表彰

 女性の現金被害を未然に防いだとして東淀川署は3日、東淀川瑞光郵便局の秋元康春主任(44)と浅見和好課長(55)に感謝状を贈った。2人は「今後も未然防止に努めたい」とし、川畑慶和署長は「スピーディーな対応に感謝している」とたたえた。

 同署によると、自宅に来た男(46)は4月14日に逮捕され、同24日に詐欺罪で起訴された。

https://amd.c.yimg.jp/amd/20200608-00000023-mai-000-1-view.jpg

https://news.yahoo.co.jp/articles/ebf91244eeb7a3e64ba03bb908f3f18d65de304c