トランプ米大統領は16日、白人警察官による黒人男性暴行死事件を受けた警察改革に関する大統領令に署名した。警察官の訓練強化のための補助金増額などが柱だが、人種差別問題については触れていない。署名前の演説でも「法と秩序」を連呼し、「警察官は命を顧みず危険に立ち向かっている」と警察擁護の姿勢を鮮明にした。

 大統領令では、警察官の訓練を充実させ、首絞めなど過剰な暴力の禁止などを推奨。改革を進めた地方警察に対し連邦補助金の支給を手厚くする。不正行為をした警察官が他の自治体警察に異動して処分を逃れることを防ぐため、人事情報をデータベース化することも提唱した。

 だが、野党・民主党が連邦議会での可決を目指す、警察暴力の被害者による損害賠償請求訴訟を容易にするなどの抜本策や、暴行死事件を受けた全米デモで指摘される「警察組織に根付く人種差別意識」の問題には踏み込んでおらず、実効性に乏しいとの指摘が早くも上がっている。

 トランプ氏は演説で「問題行為を働く警察官はごく一部に過ぎない」と強調。警察が対処している薬物やホームレスなどの社会問題を別の公共部門に移管すべきだとの声についても「警察予算の削減や解体には強硬に反対する。警察への投資を増やすときだ」と述べ、一蹴した。【ワシントン高本耕太】

6/17(水) 20:07配信
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