米ネット大手、利用者投稿に管理責任 法改正案

【ワシントン=鳳山太成】米司法省は17日、SNS(交流サイト)などネット企業への法規制を強化するよう議会に求める改正案を発表した。
企業に利用者の投稿内容の管理責任を負わせる。米IT(情報技術)産業の成長を支えてきた法律の見直しを迫るもので、各社の経営に逆風となる。

トランプ大統領はツイッターが自身の投稿に事実誤認の疑いを注意喚起したことに反発し、SNSへの規制強化を求めていた。
11月の大統領選を前にネット上での表現の自由と、利用者の安全をどうバランスさせるかの議論にも影響を及ぼしそうだ。

1996年に成立した「通信品位法230条」によると、利用者が投稿した文章や画像、動画などの内容によってSNSの運用企業が利用者から
訴えられても法的責任は原則問われない。一方で企業は自らの裁量で閲覧を制限したり削除したりできる。司法省の案は同条の免責範囲を狭めて企業の保護を弱める。

具体的には、ネット企業がドラッグや性的搾取など違法な投稿を放置したとみなせば責任を問えるように明確にする。
企業が投稿内容を制限する場合は合理的な理由を説明する必要がある。

与野党とも同230条の修正には前向きだが具体策には隔たりがあり、議会での法改正には時間がかかる公算が大きい。
それでもツイッターやグーグル、フェイスブックなどネット企業には強い圧力となり、規制コストが高まりそうだ。

司法省が動く背景にはトランプ大統領や議会からネット企業への不満が高まっていることがある。ツイッターと対立するトランプ氏は5月末、
SNS規制を強化する大統領令に署名した。与党・共和党の議員もリベラルなネット企業が保守的な情報を制限していると批判する。
野党・民主党は消費者の保護が不十分だとしてネット企業への監視強化を求めている。

企業への免責を定めた通信品位法230条は新興ネット企業の成長を支えてきた側面もあるが、巨大化して影響力を高めた現状では「時代遅れ」(司法省)との批判も根強い。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60480710Y0A610C2000000/