フジテレビと産経新聞社は19日、両社による合同世論調査で、調査業務の委託先業者が実際には電話していない架空の回答を計上する不正があったと発表した。不正は2019年5月から20年5月までの世論調査計14回で行われ、両社はこの調査結果に基づく放送と記事を全て取り消し、世論調査を当面休止するとした。

 発表によると、不正があったのは内閣支持率や支持政党などを問う世論調査。両社は19年5月から、無作為に選んだ電話番号約1000件への調査業務を調査会社「アダムスコミュニケーション」(東京都)に委託していたが、同社は業務の半分を無断で「日本テレネット」(京都市)に再委託していた。日本テレネットは実際には電話していないにもかかわらず、架空の回答を計上していた。不正は各回100件以上、14回で計約2500件に上り、日本テレネットの現場責任者は「電話オペレーターを確保するのが難しかった。利益を上げるために行った」と話しているという。

 調査結果には回答者の電話番号が記されていなかったため、フジ、産経両社は不正に気づくことができなかったという。12日に不正が発覚したが、フジテレビの広報担当者は「発覚の経緯はお答えしていない」としている。フジテレビは「不正データをチェックできず、誤った情報を放送した責任を痛感している」、産経新聞社も「報道機関の重要な役割である世論調査の報道で、誤った情報を届けたことを深くおわびする」とコメントした…(以下有料版で、残り478文字)

毎日新聞 2020年6月19日 19時50分(最終更新 6月19日 19時50分)
https://mainichi.jp/20200619/k00/00m/040/248000c