神秘の太陽系 E3
https://i.imgur.com/2aWRHy0.jpg

「これは、2009年8月に撮られた火星の表面の写真です。
この写真は、かなりの話題になりました。
その理由はこれ。
探査機の目の前にある、この岩です。
この岩は、実は隕石なんです。
直径は、およそ60cm。重さは500kg。
宇宙のどこかから飛んできて、火星に落下したものです。
注目すべきは、この大きさ。
もし今の火星に隕石が落ちたら、もっと粉々に砕けていたはずです。
なぜなら、大気がほとんど存在しないため、落下のスピードが落ちないからです。
しかし、この隕石は砕けていません。
なぜなのでしょう?
考えられるのは、この隕石が火星に落ちた時、火星の大気は今よりずっと濃かったであろうということ。
大気のおかげで落下のスピードが落ち、この隕石は砕けなかったと考えられるのです」

では、なぜ火星はその濃い大気を失ってしまったのでしょうか?
「惑星が大気を失う原因はたくさんありますが、火星の場合、一番の原因は太陽から吹き出す太陽風にあると考えられています。
実は火星にも、かつて溶けた鉄からなる中心核があり、磁場が形成されていたらしいことがわかっています。
しかし、地球よりも小さな惑星である火星は熱が逃げやすく、その核は固まってしまいました。
そのため、火星の磁場はなくなってしまったのです。
そして、バリアを失った火星に太陽風が直接吹きつけるようになり、大気を剥ぎ取ってしまいました」

こうして火星は、凍った砂漠に姿を変えてしまったのです。