2020年6月22日 9時34分

 英オックスフォード大オリオル・カレッジが、大英帝国の植民地政治家、セシル・ローズの像を撤去する意向を示した。巨額の遺産を大学に寄付した貢献者として像が建立されたが、反人種差別デモが盛り上がりを見せる中、「植民地主義と人種差別の象徴だ」として、撤去を求める声が高まっていた。

 ローズは19世紀に南アフリカで、ダイヤモンド採掘などで巨万の富を築き、当時の英国の植民地の首相も務めた。遺産を大学に寄付したことで石像が大学内に建てられたたほか、その名を冠した奨学制度が誕生し、クリントン元米大統領やターンブル元豪首相らが輩出している。

 ただ、「植民地主義を進めた」として以前から像の撤去を求める声があった。米国で黒人男性が白人警官から暴行を受けて死亡した事件を受け、英国でも反人種差別デモが広がるなか、同カレッジの理事会は17日までに、像を撤去する考えを示し、この問題についての独立調査委員会を設けることも決めた。

 委員会は像の撤去を求める学生らから意見を聴取しつつ、大学での多様性の確保なども議論するという。一方、像撤去を求める学生らのグループは「理事会は撤去の『希望』を示したに過ぎない。実行を要求し続ける」としている。

 英国では他にも、植民地主義や奴隷制度に関わる人物の像を撤去する動きが広がっている。英中央銀行は、奴隷貿易に関与したとみられる歴代総裁や理事らの肖像画をロンドンの本店内から撤去する意向を示している。広報担当者は英メディアに「銀行が奴隷貿易に直接関わったことはないが、かつての総裁や理事らの関与に弁解の余地はなく、謝罪する」などと話した。

ソース https://www.asahi.com/articles/ASN6Q31PJN6PUHBI00L.html?iref=comtop_8_02