20歳の誕生日に、母から白い封筒をもらった。
「お兄ちゃんとお姉ちゃんには、もう渡してある」と。
なかを見ると自筆書遺言だった。
一切の延命措置不要、という文言もあった。
簡素ながらよく練られ、
「立つ鳥跡を濁さず」の覚悟がひしひしと伝わる文面だった。
どれほどの時間と思いで記しただろう。

以来、毎年、同じ文面を手書き更新した封筒をもらう。