iPS細胞からがんを攻撃する免疫細胞をつくり、頭頸部(けいぶ)がんの患者に注射する治験を始めると、千葉大と理化学研究所などのチームが29日発表した。早ければ8月にも、iPS細胞を使った国内初のがん治療を実施する。治験は薬事承認を受けるために必要な手続き。がんという日本人の死因1位の病気にiPS細胞が使われることになり、成果が注目される。

 使用する免疫細胞は「ナチュラルキラーT(NKT)細胞」と呼ばれ、がんを攻撃したり、ほかの免疫細胞を活性化させたりするはたらきがある。ただ、人の血液中に0・01%程度とわずかしか存在せず、実用化が難しかった。

 計画では、健康な人の血液から採取したNKT細胞からiPS細胞をつくり、大量に増やす。それを再びNKT細胞に変化させ患者に注射する。いったんiPS細胞にすることで、効率的に量を増やすことができ、細胞の質も安定しやすいという。

 NKT細胞は、がんの部位近く…(以下有料版で,残り1338文字)

朝日新聞 2020年6月30日 8時00分
https://www.asahi.com/articles/ASN6Y74K4N6YULBJ00Q.html