自民党は30日、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」配備計画断念を受け、ミサイル発射前に相手の基地を攻撃する「敵基地攻撃能力」保有に関する議論をスタートさせた。これは憲法9条に基づく「専守防衛」には抵触しないのだろうか?

 検討チームの座長には敵基地攻撃能力保有に積極的な小野寺五典元防衛相が就任。会合で「北朝鮮は変則軌道ミサイル、ロシアや中国は極超音速滑空弾を開発しており、中長期的にどんなミサイル防衛が必要かしっかり議論する必要がある」と述べた。出席した中谷元・元防衛相は「慌てずしっかり議論すべきだが、手足を縛ったまま守ることはできない。抑止力として能力は必要だ」と保有論を展開。ほかの出席者からは、巡航ミサイル「トマホーク」など敵基地攻撃が可能な防衛装備品の議論を求める意見も出た。

 それに対し、岩屋毅前防衛相は「イージス・アショアが難しいからといって、一足飛びに敵基地攻撃能力保有を考えるのは論理の飛躍がある」と表明。防衛庁長官時代に保有論を示した石破茂元防衛相も政府のイージス・アショア断念へ疑問を投げかけた。会合では、今後有識者らも招いて敵基地攻撃能力保有の是非を議論し、7月中にも提言をまとめることで一致したものの、調整が難航する可能性は高まっている。(以下有料版で、残り1310文字)

残りの見出し「「問題はイージスの穴をどう埋めるかだ」」

毎日新聞 2020年6月30日 20時00分(最終更新 6月30日 20時00分)
https://mainichi.jp/articles/20200630/k00/00m/040/295000c