新型コロナウイルス感染症が再流行した際の「緊急事態宣言」のあり方について、政府諮問委員会会長の尾身茂・地域医療機能推進機構理事長は1日の衆院厚生労働委員会で「おしなべて今までのようなことをするのではなく、戦略的にメリハリのついた感染対策が必要だ」と述べ、全国一律での再発令には否定的な考えを明らかにした。

 尾身氏は最近の東京都の感染状況について「懸念する状況であることは間違いない」と指摘。一方、個人的見解と断った上で「4月に出した非常に広範囲な緊急事態宣言は社会に極めて強い影響があった。そうした経験を踏まえ、社会経済活動と感染防御を両立させるということが今、社会のコンセンサスだと思う」と強調した。

 厚労省は6月、再流行に備えた患者推計を都道府県に求める際の前提として、外出自粛要請などを行う「基準日」を1週間あたりの新規感染者数が「人口10万人あたり2・5人に達した日」と設定。同省の宮崎雅則健康局長は同委で、東京都内の感染者数は6月29日以降、この基準を超えていることを明らかにした。加藤勝信厚労相は「直ちに都道府県の自粛の判断につながるわけではないが、しっかり注視していく必要がある」と語った。【横田愛】

毎日新聞 2020年7月1日 17時09分(最終更新 7月1日 17時09分)
https://mainichi.jp/20200701/k00/00m/010/166000c