国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2020年分の路線価(1月1日時点)を公表した。全国の平均変動率は前年比プラス1・6%で5年連続の上昇。上げ幅は0・3ポイント拡大し、インバウンド(訪日外国人客)需要の増加や再開発を背景に、全国規模で上昇傾向が続いている。一方、新型コロナウイルスによる経済への深刻な打撃もあり、今後各地で地価が下落する可能性もある。

 都道府県別では21都道府県が上昇した。トップは沖縄県の10・5%で、西日本では大阪、京都、広島などが上昇した。下落した26県のうち、下落率は和歌山や福井などが最大でマイナス1・1%だったが、大半は前年より縮小した。

 都道府県庁所在地の最高路線価は38都市で上昇し、横ばいは8都市、下落は水戸市のみ。地点別の最高は東京・銀座の文具店「鳩居堂(きゅうきょどう)」前の1平方メートル当たり4592万円で35年連続日本一。大阪市北区の阪急百貨店うめだ本店前は2160万円で全国6位。近畿では37年連続1位になった。

 上昇率トップは、6年連続でスキーリゾート地の北海道・ニセコ地区の50・0%。大阪市中央区の戎橋(えびすばし)ビル前の心斎橋筋は44・6%で全国3位だった。

 今回の調査結果に新型コロナの影響は反映されていない。国税庁は、9月公表の基準地価(都道府県地価)の調査結果などを基に分析し、地価が20%程度下落した場合に減額修正などの措置を検討する。【稲垣淳、二村祐士朗】

 大阪市中央区の心斎橋筋は、路線価が1平方メートル当たり2152万円(前年比44・6%増)になり、ミナミではバブル期並みの上昇となった。大阪観光局によると、2019…(以下有料版で、
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毎日新聞 2020年7月1日 18時41分(最終更新 7月1日 18時42分)
https://mainichi.jp/20200701/k00/00m/040/209000c