0001蚤の市 ★
2020/07/04(土) 08:09:41.46ID:qu4lD+TG9■経路不明、前週の1.6倍
「単に検査数が増えたから陽性数が増えているわけではない。接触歴不明者が増えていることに注意すべきだ」。国立国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長は、感染者との接触歴が分からない経路不明者の都内での急増に警鐘を鳴らす。
都内の経路不明者は7月1日までの1週間で1日平均27.1人と前週の約1.6倍となった。大曲氏は「街中に感染が広がっている可能性を示している」と指摘。このペースで増えれば経路不明者は4週間後に1日あたり160人、さらに4週続くと同1080人に膨らむという。
舘田一博・東邦大教授(日本感染症学会理事長)は経路不明者の増加について「3月末から4月にかけての状況と似ている。休業要請などが全面解除されてから約2週間たち、街中での人同士の接触が増えた影響が出ているのだろう」とみる。
■高齢者波及なら病床不足
2つ目の懸念が若者から高齢者への感染の波及だ。3日に確認された新規感染者124人のうち20〜30代は8割に上った。浜田篤郎・東京医科大教授は「若い人は行動範囲が広い。高齢者は今のところ感染例は多くないが、これから発生が懸念される」と指摘する。
高齢者は感染すると重症化するリスクが高いとされる。厚生労働省が6月中旬に示した感染拡大「第2波」の患者推計によると、高齢者を中心に流行した場合、都内では最大で約9千人が入院。都が流行ピーク時に確保を見込む病床数は4千床で、大幅に病床が不足する可能性がある。
都の要請を受けて新型コロナ病棟を現在の15床から30床に増やす予定の河北総合病院(東京・杉並)。現在は一般病棟として使っているフロアを充てる見込みだが、患者を他の病棟に移したり、医療スタッフの人員配置を変更したりするのに「あと1〜2週間程度はかかる」という。
舘田教授は「患者が増えたら区域を越え病院間で連携して受け入れていく必要がある」と話す。
マスクや防護服などの「個人防護具」の確保も課題だ。東京医大病院は不織布マスクを19万5千枚、高性能なN95マスクも1万7700枚確保済み。通常時の数カ月分相当といい、「現時点で不足している状況にはない。新型コロナの患者が急増しても少なくとも2〜3週は対応可能」と説明する。
一方でマスクなどの生産供給が再び滞るリスクも警戒。担当者は「第2波や冬の流行期を想定すると、さらなる確保が不可欠」と強調する。
都内で新型コロナ患者を多数受け入れているある病院は「マスクなどは国や自治体からの配給もあり、現時点で不足はない」としつつ「自ら購入するのは難しい状況が続いている。4〜5月と同規模の流行を想定すると、備蓄は約1カ月分しかない」と明かす。
豊島区内のあるクリニックは手袋やガウンなどが不足。インターネットで探してかき集め、フェースシールドも手作りする。関係者は「防護具は一つでも欠けると診察できない」と危機感を抱く。
■検査、エリアや職種の集中必要
感染症の専門家が懸念する3つ目は検査体制だ。国内のPCR検査の能力は6月30日時点で1日約3万件。都内での実際の検査数は2千件程度で推移しているが、患者数の増加幅に比べて検査数の伸びは鈍い。
適切な検査数の目安となるのが、検査を受けた人の中で陽性となった割合を示す検査陽性率だ。集計方法の変更があり単純比較はできないが、都内では小池百合子知事が不要不急の外出自粛を呼びかけた3月25日が19.2%で、緊急事態宣言下の4月11日には31.7%で最大を記録した。
7月3日は4.5%になっている。浦島充佳・東京慈恵会医科大教授は「感染拡大の防止策がうまくいった台湾やベトナムは多くの時期で1%未満だった。もう少し積極的に検査を実施してよいのではないか」と訴える。
専門家は、職種やエリアを限定した集中的な検査の実施を求める。都内の直近の感染者はホストクラブなど「夜の繁華街」の従業員らが中心。地域別でも3日の感染者124人のうち、新宿エリアが48人などと偏っているからだ。東京医科大の浜田教授は「地域や職種を限定して集中的な検査をすれば拡大を止められる可能性がある」と強調する。
慈恵医大の浦島教授は「東京都全体を休業要請の対象にするのは経済的打撃が大きく、効率が悪い。検査で陽性者が出て休業した場合はその期間の補償をするなどした方がよい」と話している。
日本経済新聞 2020/7/3 20:17 (2020/7/3 21:15更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61154860T00C20A7EA2000/