米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の周辺住民らが、米軍機の飛行差し止めや普天間飛行場の基地提供協定の無効確認を国に求めた「第2次普天間爆音訴訟」の上告審で、最高裁第2小法廷(菅野博之裁判長)は8日付で住民側の上告を棄却する決定を出した。飛行差し止め請求を棄却した2審・福岡高裁那覇支部判決(2019年4月)が確定した。裁判官4人全員一致の意見。

 提訴した住民ら約3400人のうち、8人が上告したが、小法廷は「上告理由に当たらない」と述べた。騒音被害を認めて国に計約21億2100万円の賠償を命じた司法判断については、国、住民の双方が上告せず2審で確定している。

 2審判決は飛行差し止めについて、最高裁判例に沿って「国は米軍機の運航を規制や制限できる立場にない」と判断した。日米両政府が締結した普天間飛行場の基地提供協定が違憲で無効であることの確認を求めた部分は却下。騒音被害への賠償については、理由を明示せずに慰謝料の算定基準を引き下げ、1審・那覇地裁沖縄支部判決(16年11月)よりも総額で3億円余り減額した。

 周辺住民約400人が原告となった第1次訴訟では、飛行差し止め請求を棄却した上で騒音被害の賠償として国に計約3億6900万円の支払いを命じた福岡高裁那覇支部判決(10年7月)が確定。住民らは、その後も国が騒音被害を放置しているとして12年3月に第2次訴訟を起こした。【近松仁太郎】

毎日新聞 2020年7月9日 21時42分(最終更新 7月9日 21時42分)
https://mainichi.jp/20200709/k00/00m/040/243000c