7/10(金) 13:40
時事通信

豪雨でパクチー全滅 「丹精込めたのに」 4年連続水害に落胆・福岡
豪雨により浸水したビニールハウス内で、腐ったパクチーを手に取る香月勝昭さん=9日午後、福岡県久留米市
 豪雨により広範囲で冠水した福岡県久留米市。

 国内生産量の約17%ものパクチーを生産する農家のビニールハウスも全て水没した。香月勝昭さん(41)=同市北野町=は、4年連続の水害に「またか。何か悪いことしたか」とうなだれたが、「一日でも早くお客さんに届けたい」と再起を誓った。

 香月さん経営の「香月菜園」では、6日からの豪雨でパクチーを栽培する全72棟のビニールハウスが冠水。同日から2日間も水に漬かり続けたパクチーは、土に押し付けられるように腐っていた。

 香月さんはパクチーを手に、「丹精込めて育ててきたのに、悔しい」と顔をゆがめた。一からやり直して出荷するためには、消毒や土作りなどで3カ月はかかるといい、「お客さんに申し訳ない」と恨めしそうに雨が降り続ける空を仰いだ。

 同園では2017年の九州北部豪雨と18年の西日本豪雨を受け、浸水防止のためビニールハウスをコンクリートブロックの壁で囲い、排水ポンプを設置。それでも、19年7月と8月の2度の豪雨では水位が壁を越え、さらにブロックを積むなどの対策を講じたが、腰の高さまで冠水した。無力さを感じたという。

 「泣きっ面に蜂」。新型コロナウイルスの影響も受けた。飲食店への出荷が激減し、原価割れで大量廃棄。技能実習生が来日できず人手不足にも陥った。豪雨被害と合わせて売り上げの3分の1が減る見込みで、赤字は免れない。「従業員を食わせていけるのか。前を向こうと頭を上げたところ、押さえ付けられたようだ」
 周辺の農家も同様の被害に遭っている。香月さんは、「これまで受けていた融資を返すための生産基盤が壊され、諦める人もいるだろう。一緒に頑張ろうとは簡単に言えない。国には支援と、しっかりとした治水をお願いしたい」と訴えた。 

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