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「大陸経営」馬郡健次郎 著 昭13
第二篇 日獨伊の提携と防共協定 四 防共協定の擴大强化

蘇聯が南方ウクライナを侵略し、中央亞細亞を侵略し、遠く西比利亞を侵略し、外蒙に新羅に果して何を成したか、
満洲を侵略した為日露戦争を起し、我國の大痛棒を受けた事は人の知る所である、
現在の茫大なる蘇聯の領土は一として侵略の獲物ならざるはない。之を侵略と云はずして何ぞや。

更に一方英國の侵略政策は如何なるものか、半ば人民戦線化した佛蘭西を相棒として近東廻廊の弱小国を取り込み、
在外植民地の代表者を一方の楯として成さざるなき暴威を揮い、獨り平和顔して獨逸・伊太利を排斥し、
米國に媚を売り、蘇聯まで引き込んで全世界に散布された自國権益の進展に努めつつある。
また日英同盟に日本を抱き込み、露西亜の勢力を打懐せしめ、ワシントン会議に煮湯を呑ませた事を忘れてはならない。

今次事変に当って英國政府の取れる態度は、
殊更に事態を歪曲した宣伝を行い、武器の供給に、財政の援助に、軍行動の肘制に、あらゆる術策を講じた。

然かも支那の聯盟哀訢を善い事にして國際間の問題にまで之を拡大してここに惜しみなき術策を弄しようとしている。
これが何の平和であるか、支那を使嗾して我國の勢力を駆逐せしめ、自家薬籠の中のものとして処理しようとする、実に不徳義極まるものである。

東洋の平和を乱すものは英國であり、支那を侵略するものは英國であると云っても過言ではない