なぜ今? 米国で囁かれるバイデン氏の認知症疑惑
2020/07/08 07:00

バイデン氏は「アメリカではコロナウイルスで1億2000万人が死んだ」と発言した。
だが、実際のアメリカの死者はその時点で12万人だった。また、予備選の最中にバ
ージニア州内にいたとき、「ここノースカロライナ州では」と発言した。オハイオ
州とアイオワ州を間違えたこともあった。さらには、自分の副大統領時代の体験を
語るなかで、当時の大統領だったオバマ氏の名を思い出せず、「私のボスだった大
統領」と言いつくろったこともある。

 とくに有名なのは、2019年8月にニューハンプシャー州での予備選関連の集会で
演説した「アフガニスタン戦争体験談」である。

 この集会で同氏は次のように語った。「私は副大統領としてアフガニスタンを訪れ、
米軍将兵の激励に赴いた。コナー地域では、20メートルほどの深さの谷間に取り残さ
れ敵の猛攻撃を受けている兵隊がいた。米海軍大佐がロープを伝って、その部下を助
け出す場面を私は目撃した。その後、私は副大統領としてその海軍大佐に銀星勲章を
授与することになった。だが大佐は、助けた部下が結局死んでしまったことを理由に
勲章を辞退しようとした」。

 しかしその後すぐ、この話は多くの部分が事実とは異なっていることが判明した。
バイデン氏がアフガニスタンを訪れたのは、副大統領としてではなく、上院議員と
してだった。部下の救出にあたったという軍人は海軍大佐ではなく陸軍士官だった
。その士官がバイデン氏から銀星勲章を受けたという事実はなかった。バイデン氏
が救出の場面を目撃したという話も根拠がなかった。だが、バイデン氏は同じ話を
他の場所でも何度も繰り返していた。

 こうした事例が重なり、バイデン氏には認知症の兆候が出ているのではないかと
いう疑問が提起されるようになった。そしてついには、米国有権者の4割と目される
人たちが「バイデン氏は認知症」という認識を持つまでに至ってしまったのである