飯塚市のNPO代表、野田隆喜さん(62)が9日、父和良さんが被爆した長崎市で開かれる犠牲者追悼法要に参列する。野田さんは公益財団法人・長崎平和推進協会認定のボランティアガイドや「家族証言者」として近くデビューする予定で、共通の知人を通じて知った部落解放同盟嘉穂地区協議会(桂川町)の関係者と千羽鶴を持参して祈りを捧げる。

 野田さんによると、和良さんは16歳で爆心地から約1・3キロの自宅で被爆し、父と姉、弟を亡くした。直後に飯塚市に転居し炭鉱で働き、2015年に85歳で他界した。生前、被爆体験が生協発行の証言集に収録され、野田さんはこれを元にした朗読劇「ある夏の日のはなし」を2年前、同市の小中学生らに披露した。

 法要は平和公園で開かれる平和祈念式典とは別で、地元の遺族らでつくる団体の主催。嘉穂地協は被爆者らへの差別撲滅などで初参加することになり、委員長の原中政広・桂川町議会議長(69)は「平和の願いを込めてご冥福を祈りたい」と語り、野田さんは「見たことのない祖父らのルーツに触れたい」と話している。【荒木俊雄】

毎日新聞 2020年8月8日
https://mainichi.jp/articles/20200808/ddl/k40/040/315000c?inb=ra