https://www.sankei.com/smp/economy/news/200812/ecn2008120001-s1.html
【経済インサイド】サンマ漁「極めて低調」 今年も高値の公算

秋の味覚、サンマの不漁が続きそうだ。今年も本格的なサンマ漁のシーズンを迎えるが、水産庁が7月末に発表した8〜12月の漁況見通しによると、日本近海に来るサンマの量は「極めて低調に推移する」というショッキングな内容。取れるサンマも、やせたものが多くなりそうだ。漁獲量が少なければ、店頭価格は高値継続が懸念される。庶民の味を代表する大衆魚に、暗雲が立ち込めている。

 東京の下町、足立区と葛飾区でスーパー2店を展開する「ベニースーパー」。足立区の佐野店では、サンマの販売価格は一昨年に1尾100円程度で、サイズも例年通りだった。だが、昨年は150〜200円程度に値上がりした上、やや小ぶりになったという。

この秋はどうなるのか。ベニースーパーの赤津友弥本部長は「サンマがあまり取れないとの見通しで、来店客に売れる価格にはならないかもしれない。期待をしづらい」と気をもむ。

 実際、水産庁が7月31日に発表した8〜12月の漁況見通しは厳しい内容だ。来遊量が昨年より一段と少なくなるだけでなく、漁の主体で鮮魚売り場でよく見かける「1歳魚」の割合は低く、その平均体重も「昨年を下回る」とし、やせたサンマが多くなるという。

 さらに、群れが三陸沖まで南下する時期も例年と比べ1カ月程度遅く、10月下旬になるとの見立てだ。

 サンマは近年、不漁続きに直面している。日本の漁獲量は昨年、速報値で4万5800トンと過去最低に沈んだ。ピークの昭和33年から実に92%のダウンだ。

 国立研究開発法人の水産研究・教育機構は水産庁の委託を受け、漁況見通しの根拠となるサンマの分布量を探る調査を毎年6〜7月に行っている。巣山哲主幹研究員は、今年のサンマ漁について「漁獲量が昨年を下回る可能性はかなり高いのではないか」とみる。実際にそうなれば、2年連続で過去最低を更新する。

 不漁の要因をめぐってはさまざまな見方がある。

 まずサンマの資源量そのものが減っていることだ。水産研究・教育機構によると、日本近海に来遊すると考えられる海域でのサンマの分布量は、調査を始めた平成15年は467万トンあったが、その後は減少傾向にあり、29年は最低の61万トンに落ちた。30年は153万トンまで戻したが、令和元年はまた72万トンに減った。

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2020.8.12 10:00