新型コロナウイルスの感染拡大に伴う販売機会の減少で、千葉県市原市の市原刑務所で受刑者が生産するシイタケの販売量が激減している。

 品質の高さから矯正展や即売会で数時間で売り切れるほどの人気だったが、今年度は新型コロナの感染予防のため矯正展・即売会が全て中止に。7月末時点で売り上げは前年同時期の約半分に落ち込んでおり、日々、生産に汗を流す受刑者の更生意欲への影響も懸念されている。(長橋和之)

 ■更生意欲に悪影響も

 同刑務所は交通事故などによる受刑者が収容される交通刑務所。平成24年に施設を改築した際に全国で初めてシイタケの栽培を刑務作業の一つとして導入した。

 菌床作りから収穫まで全ての工程を受刑者が行い、毎月約1トンのシイタケを生産。製品化した生シイタケと乾燥シイタケは敷地内の展示場や各地の刑務所で開かれる矯正展、ショッピングモールなどでの即売会で販売されている。

 「芽かき」と呼ばれる間引き作業を丁寧に行うことで肉厚で形の良いシイタケになるよう工夫するなど、品質にもこだわっている。同刑務所の担当者は「受刑者たちはシイタケが売れることを励みに頑張っていた。(新型コロナの影響で)販売の機会がないことで更生意欲への影響も懸念される」と顔を曇らせる。

 同刑務所では昨年9月の台風15号による停電で培養中の菌床が死んでしまう被害も受けた。昨年中に菌床を新しく作り直し、生産量は何とか回復したが、今度は新型コロナによる刑務所外での矯正展・即売会の中止が追い打ちをかけた格好だ。

 ■展示場に足を運んで

 ただ、同刑務所の敷地内には一般の人が利用できる展示場があり、同刑務所産のシイタケのほか、全国の刑務所で生産されたさまざまな商品が販売されている。担当者は「ぜひ展示場に足を運んで商品を手に取ってほしい。買っていただけることで受刑者たちの更生にもつながる」と来場を呼び掛けている。

 展示場の営業時間は午前9時〜正午と午後1〜3時(土日祝日は定休)。一般利用者用の駐車場もある。

2020年8月19日 14時47分 産経新聞
https://news.livedoor.com/article/detail/18757528/
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