第64・65代内閣総理大臣田中角栄は1974年12月9日に退任し、三木武夫が
第66代内閣総理大臣となった。田中は1976年7月27日にロッキード事件で
逮捕された。これに先立って、三木首相の意を呈した稲葉修法務大臣が
検察首脳会議の決定を承認した。

安倍首相は四六時中この事例が念頭にあり、退任後の自分を留置場に
ぶち込まない人を後継に強く願う。自分を守ってくれるはずだった黒川弘務
検事長は賭けマージャンで失脚してしまった。

次期総裁を目指す者のなかには禅譲を願って首相にせっせと忠勤を
アッピールする議員がいたが、最近微妙に距離を置き始めた。首相から
後継に指名されると国民はレプリカとみてそっぽを向くと気づき、作戦を
練り直している。

自民党の陣笠議員は口先では現首相の健康を案じながら、顔は喜びを
かみ殺している。まさに 「他人の不幸は蜜の味」 である。退任後の
安倍晋三議員個人の命運など何の関心もない。1年以内の衆議院選挙あるいは
2022年参議院選挙で自分が当選するか否かが切実な問題である。そのときの
総理が選挙の顔として有権者に受けるか否かが重要であって、政見の
賛同・不賛同は選択の理由にない。ましてこれまでの党への貢献は何の
意味もない。