岩手県で新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されてから、29日で1カ月がたった。県内では同日までに19人の感染が判明。県と盛岡市は、それぞれの接触者を幅広く調べる独自のローラー検査を実施し、感染拡大防止を図っている。

 7月29日に1例目が確認されるまでの3カ月半、47都道府県で唯一、「感染未確認地域」だった岩手。県はこの間、他県の感染事例を踏まえながら、専門家を交えた会議で、検査対象範囲の想定を進めた。同時に、県内の検査能力を段階的に拡大させてきた。

 これまで感染が確認された19人に関連し、県と市が実施した検査数は29日現在、計286件。国が検査対象と位置付ける濃厚接触者はうち3割程度。濃厚接触者の定義に当てはまらない人も含めた「超積極的疫学調査」を独自に実施している。

 感染経路を特定するため、過去をさかのぼる検査も実施。19日に感染が判明した盛岡市の40代男性の場合、発症2週間前までの行動歴をたどり、同僚や定期受診する医療機関のスタッフなど計60人を検査した。

 県医療政策室の担当者は「感染を抑え込むのはもちろんだが、感染者や周辺の人への誹謗(ひぼう)中傷を防ぎ、県民に安心してもらうためにも幅広く検査する意義は大きい」と強調する。

 岩手医大病院感染制御部の桜井滋部長は「追跡対象者の範囲を拡大すれば、クラスター(感染者集団)の端緒をつかむことにもつながる」と指摘。医療資源が脆弱(ぜいじゃく)な県内の状況を踏まえ、「医療体制がキャパシティーを超えないためにも、2次、3次の接触者を特定して積極的に検査する必要がある」と強調する。

河北新報 2020年08月30日 日曜日
https://sp.kahoku.co.jp/tohokunews/202008/20200830_31018.html