新型コロナウイルスの感染拡大で社会に大きな不安が生じています。「クラスターが発生した」という『デマ』を流された東大阪市のカラオケ喫茶のマスターが、MBSに憤りを語りました。

 東大阪市にある「カラオケステージ絆」。約100平方メートルある店内では、新型コロナウイルスへの感染対策を徹底しています。

 「(客に)まずはアルコール消毒をしていただいて、席に座っていただく。歌った後にはアルコールティッシュでマイクを全部拭いていただく。徹底はやりすぎてもいいくらいなので、できる限りうちとしてはやっていますけどね。」(カラオケステージ絆 大谷隆記マスター)

 客はお年寄りのグループが多く、ステージを使ってカラオケを楽しんでもらうのがこの店の特徴です。店の収容人数は50人ですが、今は20人に制限。歌い終わった後は拍手のみの対応をお願いしています。

 新型コロナウイルスの影響で、今年3月〜5月の売り上げは、前年の2割程度に落ち込みました。“営業を続ける以上は絶対に感染者は出せない”そんな思いで店を開けてきた中、8月初めに、あるデマが客の間で広がっていることが発覚しました。

 「『絆の発表会で9人のクラスターが出たとのことですがご存じですか?』と。突然きたので。最初は『うそっ』て感じですよね。どこから?なんで9人?って。クエスチョンだらけで。どうしていいかもわからない。」(大谷隆記マスター)

 常連客が受け取ったメールは『店で7月に開かれたカラオケの発表会で9人の感染者が出た』というもの。実際に発表会は7月に開かれましたが、全員マスクを着用。感染者はもちろん出ていません。マスターの大谷さんには発信源について心当たりの人物があり、デマについて問い詰めましたが、はぐらかされたといいます。一方で、デマはあっという間に常連客を中心に広がり始めます。

 『先日カラ仲間から東大阪の絆に9人のクラスターが出たと報告あったわ、発表会で。店でうつり家族にうつしたら最悪やな。』
 『知り合いから大阪のカラオケステージ絆には行かないようにと連絡がありました。』【客のメールより】

 大谷さんが把握しているだけで20人の客がデマをメールやLINEで受け取った後、また別の客に転送していたといいます。

 「悲しいしかないですよね。みんなうちのお客さんだったので、デマを聞いた時に直接店に電話していただいて、『どうなんですか?』って聞いていただければ、そんなことはなかったんですけど。」(大谷隆記マスター)

 新型コロナウイルスに関するデマをめぐっては、15歳〜69歳の男女2000人を対象にした今年5月の総務省の調査で、間違った情報を拡散したことがあると答えた人が35.5%もいました。うその情報がどこまで広がっているのか。大谷さんは大きな不安を抱えながら営業を続けています。

 「涙が出ないくらい腹立ちますね。どうしたらいいのか。どういう道に進んだらいいのか、誰に文句を言えばいいのか。店をやっている人間は言われっぱなしかなと。」(大谷隆記マスター)

9/4(金) 17:18配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200904-00034691-mbsnewsv-l27
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