習近平に衝撃!岸信夫防衛相の誕生とクラック米国務次官訪台
遠藤誉 | 中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士
yahoo 9/18(金) 18:30
https://news.yahoo.co.jp/byline/endohomare/20200918-00198939/


 菅内閣は台湾通の岸信夫氏を防衛大臣に据えるという凄まじい発信をした。
加えて米国務次官が訪台。
中国外交部の抗議のみならず国防部が
「アメリカは死路あるのみだ!中国人民解放軍は黙っていない」と気炎を上げている。

◆菅総理、みごとな発信
 新しく誕生した菅内閣は、その布陣において異論がないわけではないが、
少なくとも岸信夫議員を防衛大臣に据えた事で、明確な姿勢を発信したことになる。

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 岸信介議員は、
日華議員懇談会(日本と台湾との関係強化を目的とした超党派議員連盟)の幹事長でもあり、
また自民党青年局などで構成される
「日台経済文化交流を促進する若手議員の会」の会長としても活躍しておられるように、
台湾との交流に熱心なことで知られる。

 2015年には、まだ台湾の野党だった民進党主席の蔡英文氏の来日を実現させ
地元の山口県で手厚く接待しているし、
今年8月には日華議員懇談会による李登輝元総統の弔問団の一員として台湾を訪問している。

 こういう人物を防衛大臣にしたということは非常に大きな脅威を中国に与える。

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◆習近平にはショックだろう
 習近平国家主席としては、
自民党の二階幹事長が続投で菅首相の背後にいる限り
「日本はこっちのものだ」と高を括っていただろうが、
なんと肝心の防衛大臣にタカ派で親台の岸信夫議員を持ってこられたのでは
「日中友好」などと言っているわけにはいかなくなる。

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◆クラック米国務次官訪台に対する中国の激しい抗議
 9月17日、アメリカのクラック国務次官(経済成長・エネルギー・環境担当)が台湾を訪問した。
かつての中華民国と米国が断交した1979年以降で訪台した国務省高官としては最高位となる。
8月のアザー米厚生長官に続く米高官の訪台となった。18日夜には蔡英文総統と面会する予定だ。

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 まず9月18日の環球時報は
「クラック米国務副長官訪台、外交部:中国側は形勢の進展に応じて必要な措置を採る」
という見出しで抗議を表明した。

 そこでは「中国はこれに対して断固反対し、アメリカに対して厳正なる交渉を提出する」として
「驚くべきことに米台経済と商業対話と謡いながら、実際は台湾に7種類の武器を売りに行っただけだ。
それでも台湾はホルモン漬けのアメリカ豚を食べなければならないのだろう?」と皮肉り、
サプライチェーンの台湾へのシフトなど口実に過ぎないと悪態をついている。

 また
「クラックの訪台目的が何であれ、訪台すること自体が悪行なのだ。
 それは一つの中国の原則を踏みにじるものであり、
 台湾独立を叫ぶ分裂主義勢力の傲慢を助長するものである。
 中国は絶対に許さない!」と激しい。

 激しさにおいては中国政府の国防部(防衛省)も負けていない。

 何と、使った言葉が「アメリカには死路一筋しかない」だ。

 9月18日の中国共産党が管轄する中央テレビ局CCTVは国防部の任国強報道官の
「死路一条!」と叫ぶ声を激しく報道していた。

 「人民日報」の見出しにはないが本文には「注定死路一条」という言葉が書いてあり、
また、たとえば「紅星新聞」にはタイトルに「注定死路一条」という文字がある。

 これは「お前には死の道だけしかない!」というニュアンスの言葉だ。

 それが何十種類ものサイトに転載されている。

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◆東部戦区が台湾海峡で海空合同軍事演習
 まるで、「目にもの見せてやる」と言わんばかりに、
9月18日、中国人民解放軍の東部戦区は海軍と空軍の合同演習を台湾海峡で行うと発表した。
国防部の公式サイトが伝えた。

(略)

 岸防衛大臣の今後の活躍に期待したい。