【ワシントン=黒瀬悦成】11月3日の米大統領選の民主党候補指名争いで敗退した実業家、ブルームバーグ前ニューヨーク市長が今月に入り、選挙の行方を左右する激戦州の南部フロリダ州に巨額の資金を投じ、共和党のトランプ大統領の再選阻止に向けた運動を始動させた。しかし、同氏が進める重犯罪歴のある黒人や中南米系の有権者登録に向け罰金などを肩代わりする活動が「買収の疑いがある」として同州司法長官が捜査を要請するなど、大富豪のブルームバーグ氏の「金権選挙」は大きな物議を醸している。

 ブルームバーグ氏は3月に指名争いから撤退し、後に民主党候補に指名されるバイデン前副大統領への支持を表明した。9月13日には、フロリダ州でバイデン氏を側面支援するため同州に1億ドル(約105億円)を投下し、伝統的に民主党を支持してきた黒人や中南米系の投票率向上などに取り組むと発表した。

 フロリダ州では、殺人と性犯罪で刑務所に収監された場合を除き、過去に重罪を犯した者にも投票権がある。ただ、罰金や裁判費用、賠償金が未払いの場合は有権者登録ができないため、ブルームバーグ氏はこれらの支払いを肩代わりする非営利団体に1600万ドル以上を寄付し、約3万2千人を投票可能にした。

 しかし共和党陣営は、同氏の行動は「選挙違反の可能性がある」として反発。同州のムーディー司法長官(共和党)は23日、連邦捜査局(FBI)と州法執行当局に捜査を要請した。

 専門家によると、ブルームバーグ氏が非営利団体に寄付するのは適法だが、特定の候補に投票するよう少しでも示唆した場合は買収の罪に問われる。

ブルームバーグ氏がフロリダ州のテコ入れに踏み切ったのは、同州でトランプ氏が急速に勢いを盛り返しているためだ。

 政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」(23日現在)によると、フロリダ州での両候補の平均支持率はバイデン氏48・7%、トランプ氏47・4%でほぼ並んだ。米ABCテレビとワシントン・ポスト紙が同日発表した合同調査ではトランプ氏が51%、バイデン氏は47%だった。

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https://www.sankei.com/world/news/200925/wor2009250010-n1.html
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