「反対と知っていて、持ってきたのか」

 当時、官房長官だった菅義偉首相は、財務省主税局の幹部たちが持ち込んだ増税案の説明資料には目もくれず、突き放した。

 資料には、株式などの配当や売却益にかかる金融所得課税の税率を20%から、段階的に25%に引き上げる案が記されていた。2017年前後の数年間、主税局は何度も理解を得ようと説明を試みたが、菅氏の答えはいつも同じだった。「株価に影響することは認めない。上げる気はない」

 アベノミクスの成果を一番わかりやすく示せる株高こそ、政権浮揚には欠かせない。「株価政権」と呼ばれた安倍政権の中で、菅氏も株価の動向にはひときわ敏感だった。

 安倍政権は14年10月、公的…(以下有料版で,残り1330文字)

朝日新聞 2020年10月1日 7時00分
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