京都市バス全84路線のうち2019年度は63路線(75・0%)が赤字で、18年度から12路線増えたことが京都市交通局のまとめで分かった。バス運転士の担い手不足による運行コスト増に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による乗客の激減が追い打ちとなり、18年度から継続して運行している83路線のうち94・0%となる78路線の収益が悪化した。市交通局は、20年度は4〜7月期に市バス、地下鉄の合計で約72億円の減収となっており、更なる収益悪化が避けられないとしている。

 各路線が黒字か赤字かは「営業係数」で判断される。営業係数は100円の収入を得るために必要な費用を表し、100未満は「黒字」、100を超えると「赤字」となる。

 19年度に運行した84路線のうち、黒字となったのは21路線。赤字63路線の内訳は、営業係数100〜150が41路線(48・8%)▽151〜200が13路線(15・5%)▽201以上が9路線(10・7%)――だった。最も悪かったのは84号系統(九条車庫前―太秦天神川駅前)で、100円の収入を得るために244円かかった。

 18年度から継続して運行する83路線についてみると、78路線の収益が18年度よりも悪化。同じ程度は2路線、収益が向上したのはわずか3路線だった。

 同交通局によると、全国的なバス運転士などの人手不足で、民間事業者への委託路線が減少。交通局の直営路線が増えたため、19年度の人件費は18年度から約6億5000万円膨らんだ。一方、20年2月以降は新型コロナの影響で観光客が激減。旅客収入も4億2500万円の減少となり、収益の悪化につながったという。

 20年度についても、4〜7月の利用客数(速報値)が4カ月連続で19年同時期の3〜5割減となっている。同交通局は「更なる収益悪化は、ほぼ間違いない」とみている。【小田中大】

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