取締り強化へ過去最大級の組織改編へ 厚生労働省麻薬取締部
2020年10月2日 4時53分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201002/k10012644411000.html

違法薬物の密輸事件が急増していることを受け、厚生労働省麻薬取締部は取締りを強化するため、来年度、全国の密輸捜査の調整を担う幹部ポストを新設するなど過去最大規模の組織改編に乗り出す方針を決めました。

去年、覚醒剤や大麻などの違法薬物の密輸をめぐる事件で検挙されたのは合わせて595人で、前の年から6割近く増えて過去最多となりました。このため、厚生労働省麻薬取締部は取締りを強化しようと、来年度、大規模な組織改編を行う方針を決めたことが関係者への取材で分かりました。

このうち、東京の関東信越厚生局には実質的に麻薬取締部の部長に次ぐ幹部ポストが新設され、全国の取締官の中心となって密輸事件の捜査の調整などに当たります。

また、密輸事件を専従で捜査する「密輸対策課長」を九州厚生局に、税関や警察などとの連携を担う「密輸対策官」を北海道厚生局などに新たに配置します。

このほか、密輸の取り引きに使用されたスマートフォンなどの情報端末を解析する「情報技術解析専門官」なども全国に配置する方針です。

新設されるポストは合わせて23に上り、組織改編の規模としては過去最大となります。

違法薬物の密輸の実態は
押収される違法薬物も増加しています。

厚生労働省によりますと、去年、厚生労働省麻薬取締部や警察、税関、それに海上保安庁が押収した覚醒剤は2649.7キロ、コカインが639.9キロでいずれも過去最多でした。末端の密売価格にすると、覚醒剤が合わせて1695億8000万円余り、コカインが127億9000万円余りに上ります。

密輸の取り引きに使われているのが、インターネット上のSNSや「ダークウェブ」と呼ばれる匿名性の高いサイトなどです。どこにいても簡単に購入して受け取れるため、捜査範囲が麻薬取締部の全国の拠点にあたる「厚生局」の管轄を越えることも多く、捜査を難しくしていました。

このため、今回の組織改編には、全国の捜査情報を集約し、連携を深めることで摘発を強化しようというねらいがあります。

また、捜査関係者によりますと、ことしは新型コロナウイルスの感染拡大で密輸の動きが一時少なくなりましたが、反動で増加するおそれがあるとして麻薬取締部などが警戒を強めています。